GERMAN MAESTRO のヘッドホン、GMP400を購入しました。


これはAMAZONにも投稿したレビュー。 
------------------------------------------------------------------------------------------------

環境はHiFace→iDAC-1(iPSU-1装着)→Audio-gd C-2C で聴いてます。


注意!
据え置きのヘッドホンアンプを必須、推奨します。
インピーダンス的にポタアンだと力不足の可能性があります。

音漏れも大きく、またデザイン的にも、静かな屋内での使用がベストでしょう。

歪みがとても少なく、ソースの音を違和感の無い程度に柔らかさと力感をもった味付けをし、軽すぎず重すぎず、適度な力感でとても自然な音を鳴らします。
軽やかだけど力感があり、締まっていながら柔らかみも感じられる不思議な機種です。
そっけない音というわけでは無く、あくまでもソースの楽曲の音に丁寧に追随していくようなイメージです。
これはヘッドホンではわりと珍しい傾向かもしれません。
そのため、幅広いジャンルで、一定以上のレベルで聴くことができると思います。

また、GMP400の最大の魅力はこの高レベルな自然さだと私は思います。
他メーカーの上位機種とも比較検討できる能力を持つ機種です。

音場の広さは特筆することのない普通の開放型ヘッドホンという感じで、密閉型よりも広い感覚で閉塞感もありません。
音は普通から近め。
解像度は高めで、定位もきちんとしています。

少し低域寄りですが、全体的にはフラットバランスです。
ただし、低音が多い楽曲では低音過多に感じる可能性あり。

低音域の表現は、堅めで質が良く、音滲みが少なくきちんと変化を描き分け、重低音もわりと沈みます。
中音域は凹んでいませんし、低音域に邪魔されることなくこなします。
高音域はクセが無く澄んでいて綺麗ですがあまり刺さらず、明瞭で質が良いです。

ボーカルは埋れにくく、伸びも良く、得意な方だと思います。
ただ、声質によっては向き不向きが出てくる可能性はあるかもしれません。
また、微細な表現をこなしてくれるので、声の起伏や表情の変化が分かり易いです。

装着感はとても良好です。
とても軽く、長時間の装着も問題ありません。
具体的にはHD590、HD595と同等以上に良いです。
ただし、ヘッドバンドが短めのため、人によっては装着が厳しいかもしれません(下記参照)。

GMP400のヘッドバンドを最大に伸ばした状態
=KOSS UR40で最大延ばし
=PHILIPS SHL9600で最大延ばし
=Creative アルバナライブで左右3〜4メモリ分残し
=DENON AH-D2000で左右2メモリ分残し
=SENNHEISER HD595で左右3メモリ分残し
=SHURE SRH1840で9割〜最大延ばし

褒めすぎな気もしてきますが、実際埋れるには惜しいと思わせるヘッドホンです。

------------------------------------------------------------------------------------------------



なお、上のレビューには書きませんでしたが……。



ニッチではありますが、個人的には同人音声作品(特に、立体音響系の作品)にもとても向いていると思いました。
上記Amazonレビューのとおりに基本的性能が高い事が前提ですが、他の理由は下記。

・音の配置や移動と、距離感の把握がとてもし易い。
これは他のヘッドホンと比べても、とても優れています。
全体の音バランスとか音場の広さとか響きとか、ヘッドホンをレビューする上で説明されやすい要素は他のヘッドホンでも優れているものが多くあるのですが、この要素はわりと疎かにされやすい傾向にあると思うんですよね。
この点について書かれているヘッドホンのレビューって、あまり多くないと思います。
そもそも普通の楽曲音源ソースでは、音を鳴らしながら移動することって全然無いんだから当たり前なんですけど。
GMP400の場合、台詞の途中や台詞の前後で「位置が少し変わった」とか、「微妙に動きながら台詞言ってる」みたいのが分かり易いです。
逆に言うと「この作品は凄くこだわって作られているかどうか」って判断もし易い。



・分離も自然で優れているので、SEの混ざった立体音響作品でもそれぞれの音が団子状態にならないし、それでいて違和感も少ない。
音の移動なんかが分かり易いのですが、SEの音と、台詞声の位置が別の動き方をしていても全然ごちゃごちゃせず、把握もし易いです。
音の表面に薄い膜があって、音と音の境界線が分かり易いようなイメージですが、不自然になりません。
おそらく音のアタック感というか力感みたいなものがそうさせてるのかも?



・音の味付けが過度でなく自然で、雑味が少ないので声が素直に通る感じで聴きやすい。
響きが豊かなヘッドホン、例えばゼンハイザーの機種なんかだと、声質によっては野暮ったくなります。
スッキリとした傾向の機種だと今度は物足りなくなりがちです。
GMP400は丁度良い塩梅だと思います。
高域の透き通っている質が関係している?


・音の近さ。
例えばK702やSRH1840だと音が遠いと感じてしまうことがありますが、GMP400は丁度良いです。
K702で耳かき音や囁きボイスを聴いても距離に違和感ありまくりなんで。


・装着感がとても快適。
1時間以上の作品が多い音声作品では、これもかなり重要なのではないかと思います。








今まで使っていたヘッドホンって、ほぼ上記のいずれかに引っかかるので、作品を楽しみ切れていない感覚が微妙にあったのですが。
例外としてmh256はわりとクリアしていたのですが、単純に音質がもう少し欲しかった。

べた褒めかもしれませんけど、本当に音は良いです。 
高レベルの自然な無難な音って簡単そうで難しいと思います。
どのヘッドホンにもクセという名の個性がありますから。
その個性が楽曲によっては凄い魅力になったりするんですけども。


楽曲から音声作品まで聴く私にとっては、とても良い機種でした。
お気に入り所持機種の、5本の指には確実に入ります。
もっと早く知って、買っておけば良かったのにと思うくらい。





※追記(2015/09/28)
Shanling PH100でも試してみましたが、雑味が混じる感じで、鳴らしきれてない感覚になりました。 
ぶっちゃけ「鳴らしきる」という言葉は曖昧ですし、イマイチ使いにくい言葉ではあるのですが……。
実際物足りなさというか詰まった感覚のことを「鳴らしきれていない」って言うのだと思います。
言葉を変えると「駆動力が物足りない」「音に余裕がない」感じですかね。
鳴らしにくいヘッドホンとしてはSENNHEISERのHD650が有名ですが、少なくともHD650でも満足に駆動できるアンプが必要だと思います。


 
スピーチ機能は最大文字数100文字の制限があります