Mil2です。

 今回はAcoustune様からイヤホンをいくつかお借りすることができましたので、感想を書きたいと思います。 独特なデザインは私の好みに合致しているのですが、実際に触れてわかる ”つくりの良さ” もポイントが高いですね。 気分的に大きな差です。

試聴は落ち着いた環境で行うのが望ましく、店頭などでは色々と難点が多いと感じておりましたので、本当に感謝です。 ありがとうございます。


レビュー部分は主観的な文体となっていますがご了承ください。
ケーブルは付属のもの、イヤーチップはAET08を使用しています。
再生環境(DAP)はFiiO X5 2nd(FW 2.1)です。
申し訳ありませんがバランスケーブルは環境が整っていないので、聴けていません。





【HS1503 AL】

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音バランスはドンシャリ。
音への距離は少し開いているように感じる。


低音域はそれなりに量が多い。
しっかりと聴けば沈み込みもそれなりに分かるのだが、どこか重心が高いような、腰高な表現に感じることがままあり、そのような場合に少し違和感を覚える。
曲によっては偏って強調しているような印象になることも。


高音域は刺さりやすい。
質が荒れていると感じることもある。
曲によってはこれが致命的なほどに目立つ。
あまり刺さらない曲では伸びが物足りない印象を覚えることもある。
なので、特定の狭い帯域を強調しているような気がする。
刺さる曲と刺さらない曲での印象の差が大きい。


中音域は若干引っ込んでいる。
音数が多かったり音の密度が高かったりする曲ではこれが少し目立つようになる。


音場は左右にそれなりに広く、左右方向の端っこの方へ進んでも難なく表現してくれる。
解像感も高く、低価格なイヤホンではなかなか聞き取れないような音も聞き取れそう。
ただし中音域は引っ込み気味なので若干わかりづらいかも。
また、低音域の腰高な音のせいか、配置に窮屈さを覚えることがあり、音の数が多い曲では粗雑さを感じることがある。


向いてる曲は音の密度があまり高くない曲。
但し、音の響きとか細かな余韻よりも、全体的な迫力や雰囲気を楽しむのに向いていると感じた。


marble「芽生えドライブ」は低音域の表現に違和感がなく、高音域の刺さりもわりと問題なく、ボーカルの主張具合も程良かった。
ギターやドラムなどにアクセントがあり、濃い音を魅力的に聴けたので、相性が良い方だと思う。
ただし、同アーティストでも例えば「ハミングバード」ではタンバリン?など高音域の刺さりが致命的にきつい。

The Offspring「Nitro (Youth Energy)」では全体を通して細かく刺さりが繰り返される印象で、正直聴いていられなかった。



総評として、無難系とは逆を行く機種。
サブ向けだと思う。
性能自体は個人的に申し分無いので、刺激的な音や音楽的な音が好きならば一考してもいいかも。
但し、試聴が可能ならばできる限りするべきだと思う。
刺さりへのイヤーチップの選択は他機種よりも比較的重要だと思う。





【次期モデル試作A ホワイト/ゴールド】

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高音域が若干目立つし聴き疲れもしやすいが、全体的にはフラット気味な音バランス。
HS1503 ALと似たような感じで音の響きがある傾向。


HS1503 ALよりも高音域の刺激が少なく、質自体はこちらのほうが上質で自然だし、なめらかで聴きやすいが、いわゆる刺さりやすいと言われる機種と同程度には刺さる。
また、空間への響きもしっかり感じられるのでハイハットなどの音がとても気持ちいい。
個人的には曲のアクセントとしても違和感がなく魅力もあって悪くないと思う。


中音域はほんの少しだけ距離を感じるが、他の帯域に隠れることもなく聞き取りやすい。


低音域はほんの少し強めに感じる。
HS1503 ALでたまに感じた妙な強調感はなく、悪くない塩梅だと感じた。
もちろんバスドラムなどで音圧があるべきだと思う箇所はちゃんと表現してくれる。


音場は横方向に余裕を持って広く感じられるし、上下方向にも多少感じられる。
今まで聴いてきたイヤホンの中でもとても広めに感じる。
また、響きが多めなので音の密度が高くなりがちだが、個別の音は比較的聞き取りやすい。
はっきりと分離させるタイプではないが、解像感も高い。


スピッツ「チェリー」ではドラムのアクセントが効いており、響きと相まって空間を感じられて良い。
音の密度が高い箇所でもHS1503 ALとは違って、粗雑に感じるなどそういったネガティブなことがほとんど目立たなかった。
おそらく、前述した低音域の妙な強調感が無いことも功を奏しているのでは?と思った。

杵屋裕光「地球」では低音域の表現が際立った。
階調表現の能力は帯域で良いところとそれなりのところとほんの少しムラを感じるが、それでもイヤホンとしては高度に感じられた。
強いて言うならば、音の相性からか若干詰まったような印象を受けた。



総評として、刺激を足した無難系機種。
もしくはHS1503 ALから無難寄りにしたような機種。
客観的に見るとこれでもまだ高音域の刺激は若干目立つので試聴はすべきだと思うが、より多くの人が使いやすい音だと思う。
色々な曲を流し聴きしてみても、大きな違和感や不満を覚えたりはしなかった。
性能自体も高く、この音は正直かなり好きだ。





【次期モデル試作B ブラック/シルバー】

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中音域〜中高音域重視。
試作Aのものよりも低音域が若干抑え気味、高音域の刺さりはHS1503 ALの質を真似ながら、伸びを抑えて無難系に寄せたような印象。


HS1503 ALの高音域よりも抑え気味に感じるが、質がザラザラと若干荒れたように不自然に感じることがある。
HS1503 ALと比べるとかなり無難らしい音に感じるが、試作Aのものよりは痛い。
高音域の質が若干荒れたように感じることがあり、惜しい。
バスドラムよりもハイハットやシンバルが目立ちやすくなった。
ただ、シンバルが荒れ気味に感じることが多い気がする。


説明し難いが、低音域の表現に少し違和感を覚えた。
もしかして駆動力が足りない?と思ったけどX5 2ndでそれはどうだろう?
曲によっては低音域が埋もれ気味に感じることもあった。
これは、低音域のアタックが薄めな表現傾向なためだからかなと思った。
そのせいか、階調表現の能力は試作Aよりも落ちる気がする。


中音域がとても聞き取りやすくなり、質も良い。


その他は白セラミックと似たような印象なのだが、音バランスの差と高音域の質の差はとても大きく、受ける印象が良くも悪くも大きく違った。


マイクロニクル「ララルラ」では低音域でのベースがかなり埋もれ気味になってしまい、確かに聴こえはするのだが音をとても追いづらく感じた。
ボーカルはとても聞き取りやすく、質も良かった。

i.o.sound「瞬間カタオモイ」では ハイハットが過剰気味に感じるが、このイヤホンの中では相性が良く感じた。
ベースの表現も違和感が目立たず、ボーカルがとても気持ちいい。



総評として、無難から中〜高音域重視(味付け濃いめ)機種。
ボーカル表現の質が良いのだけど、ハイハットなどの主張が強めなので全体のバランスが少し悪く感じた。





【次モデルに採用予定の銀コート仕様のケーブル(3.5mm&4.4mm)】

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前述したとおり、バランス接続の環境が整っていないので、3.5mmのみの感想となります。


HS1503 ALに装着して聴いてみると。
高音域の刺さりは気持ち緩和されたかなと思うが、まだかなり痛い。
低音域は量は殆ど変わらなく思えるが、若干締まったように思う。


試作Aに装着して聴いてみると。
低音域が締まる傾向で、底上げ量は少ない。
若干中音域〜高音域が上ずったような印象になったのが惜しい。
高音域が若干きつくなり、標準よりも音のバランスが崩れてしまった印象。


試作Bに装着して聴いてみると。
明らかに低音域の弱かった部分が底上げされて整い、また締りが増し、全体の印象として試作A(通常ケーブル)のものにかなり近くなった。
低音域の表現としては当機種の方が階調表現的にも優れているように感じるし、高音域の表現も完全ではないが改善し伸び伸びとしている。
試作A(通常ケーブル)を1段階派手にしたような音になった。
個人的には好印象だった試作A(通常ケーブル)よりもこちらのほうが好みに近い。
低音域の表現としては一番好みだった。

個人的には
試作A(通常ケーブル)と、試作B(銀コート仕様ケーブル)の中間の音が理想でした。












最後に。
あらためまして、高額にもかかわらずサンプルをお貸しいただきましたAcoustune様のご厚意に感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。